LSTMとは
LSTM(Long Short-Term Memory)モデルは、ニューラルネットワークの一種で、時系列データや順序のあるデータを扱う際に優れた性能を発揮するモデルです。主にリカレントニューラルネットワーク(RNN)の一部として使われますが、RNNよりも長期的な依存関係を学習する能力に優れています。
RNNの限界
まず、LSTMの登場背景を理解するために、基本的なRNNの限界について触れます。
RNNは、シーケンシャルデータ(時系列データなど)を処理するために設計されたニューラルネットワークで、時間軸を通じて情報を伝播させることができます。RNNの構造では、入力データが逐次的に処理され、隠れ状態(hidden state)として出力されます。この隠れ状態が次の時間ステップに渡され、前の時間ステップの情報を引き継ぎます。
時間が進むにつれて、誤差(勾配)が急速に小さくなり、過去の入力がほとんど影響を与えなくなります。これにより、長期的な依存関係を学習することが非常に難しくなります。
勾配が極端に大きくなり、学習が不安定になることもあります。
LSTMの構成
LSTMは、通常のRNNの「状態」に加えて、「セル状態(cell state)」と呼ばれる特別な状態を保持します。このセル状態が、時系列の情報を長期間にわたって保持するのに役立ちます。
LSTMセルは以下の3つの主要なゲート(制御機構)を持っています。
忘却ゲートは、以前の情報をどれだけセル状態から忘れるかを決定します。これは、過去の情報が現在の計算に影響を与えないようにするために重要です。
入力ゲートは、新しい情報をセル状態に追加するかどうかを決定します。入力ゲートは、現在の入力データと前の出力を基に、「どの情報をセル状態に追加するか」を制御します。
出力ゲートは、最終的にどの情報を次の層へと送るかを決定します。セル状態の情報が次の計算にどのように影響を与えるかを調整します。
まとめ
LSTMは、RNNの弱点である「長期依存問題」を克服し、長期間にわたる情報を保持・学習する能力を持つため、時系列データや順序のあるデータに非常に適しています。複数のゲートを使って情報を選別・更新する仕組みによって、複雑なパターンを学習することが可能となっています。
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