コンピュータ用語で「バス(Bus)」と聞くと、乗り物のバスを思い浮かべますよね。
実は語源は同じ(Omnibus:乗り合い馬車)なのですが、PCの中での役割は少し違います。
バスとは、データが行き交う「道路(伝送路)」のことです。
CPU、メモリ、SSDといった部品たちは、この「バス」という道路で繋がっています。
この記事では、バスの仕組みを道路に例えて解説します。
これを読めば、「なぜ32bitパソコンはメモリ4GBまでしか使えないのか?」という長年の謎が解けます。
1. バス幅 = 道路の車線数
道路には「1車線」の細い道もあれば、「4車線」の広い国道もありますよね。
パソコンの中の道路(バス)も同じで、「一度にどれだけのデータを運べるか」が決まっています。
これを「バス幅(ビット幅)」と呼びます。
トラックで例えると…
- 32bitのバス:
32台のトラックが横一列に並んで走れる道路。
一度に「32個」の荷物を運べる。 - 64bitのバス:
64台のトラックが並んで走れる超広い道路。
一度に「64個」の荷物を運べる。
当然、道路が広い(64bit)ほうが、大量のデータを一度に送れるので、パソコンの処理速度は速くなります。
2. なぜ32bit版は「メモリ4GB」が限界なのか?
一昔前のWindows(32bit版)を使っていた時、「メモリを8GB挿したのに、3GBくらいしか認識されない!」というトラブルがありました。
これは、道路の幅(桁数)が足りなかったからです。
「番地」が足りなくなる問題
メモリには、データを保存するための「住所(番地)」が振られています。
CPUは、この番地を指定してデータを読み書きします。
- 32bitの場合:
「2の32乗」通りの番地しか作れません。
計算すると「約43億個」の住所になります。
1つの住所に1バイト置くとすると、約4GB(40億バイト)で住所が枯渇します。
つまり、32bitパソコンというのは「住所録が4GB分までしか書き込めないノート」しか持っていないのです。
いくら物理的に16GBのメモリを挿しても、CPUからは「住所がないから、そんな場所知らないよ」と無視されてしまうのです。
一方、64bitなら「2の64乗(約1844京)」という天文学的な数の住所が作れるので、事実上メモリの上限はありません。
これが、現在のパソコンがすべて64bitになった理由です。
3. 試験に出る!「パラレル」と「シリアル」
ITパスポート試験では、データの送り方(転送方式)の違いがよく出題されます。
「道路をどう使うか?」の違いです。
① パラレル転送(Parallel)= 運動会の行進
昔の方式です。
複数の信号線を束ねて、「せーの!」で一斉にデータを送ります。
- メリット:一度にたくさん送れる。
- デメリット:タイミングを合わせるのが難しい。
横一列に並んで走ると、誰か一人が遅れただけで全体が乱れますよね。
そのため、あまりスピードが出せません。
② シリアル転送(Serial)= 流しそうめん
今の主流(USB、SATAなど)です。
信号線は1本(または少数)だけ。データを縦一列に並べて、猛スピードで送り込みます。
- メリット:めちゃくちゃスピードが出せる。
「タイミング合わせ」がいらないので、新幹線のような速度でデータを流し込めます。 - デメリット:特になし(技術の進歩で克服)。
ここがポイント!
昔は「パラレル(複数車線)」の方が速いと思われていました。
しかし技術が進歩し、「1車線を光の速さで走らせたほうが、結果的に速いじゃん!」という結論になりました。
だから現在は、USB(Universal Serial Bus)のように、シリアル転送が主流なのです。
4. バスの種類(内部と外部)
最後に、バスの場所による呼び方の違いを整理しましょう。
- 内部バス(CPU内部)
- CPUの中で、演算装置とレジスタなどをつなぐ超高速道路。
ここが一番速いです。 - 外部バス(システムバス)
- CPUとメモリをつなぐ道路。
マザーボードの上を走っています。ここの速度(FSB)がパソコン全体の性能に影響します。 - 拡張バス(入出力バス)
- CPUと、周辺機器(SSDやグラボ)をつなぐ道路。
「PCI Express(ピーシーアイ・エクスプレス)」などが有名です。
まとめ
- バスは、データを運ぶ「道路」。
- 32bitは道が狭く、住所(メモリ)が4GBまでしか管理できない。
- 64bitは道が広く、大量のメモリを扱える。
- 現在は、1本の道を猛スピードで走る「シリアル転送」が主流。
「このパソコン、動作が遅いな…」と思った時、それはCPUの頭が悪いのではなく、データを運ぶ「道路(バス)」が渋滞しているのかもしれません。
データ運送業の裏側を知ると、パソコン選びの視点が変わりますね。