友達の家やカフェでWi-Fiにつなぐとき、パスワードを入れるだけでインターネットが使えますよね。
「IPアドレスの設定」なんて面倒なことをした覚えはないはずです。
なぜ設定していないのに、あなたのスマホには正しいIPアドレス(住所)が割り当てられているのでしょうか?
それは、ネットワークの中に「DHCPサーバー」という親切な案内係がいるからです。
この記事では、DHCPの仕組みを「カフェのホールスタッフ(席案内)」に例えて解説します。
1. DHCPは「席を案内する店員さん」
DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)は、ネットワークに参加してきた機器に対して、自動的に設定情報を配ってくれる仕組みです。
カフェでのやり取り(DHCPの動作)
- 来店(接続)
客(スマホ)が店に入ってきて叫びます。
「誰かー! 空いてる席(IPアドレス)はありませんかー!?」(DHCPディスカバー) - 案内(提案)
店員(DHCPサーバー)が答えます。
「いらっしゃいませ! 192.168.1.5 番テーブルが空いてますよ!」(DHCPオファー) - 着席(完了)
客(スマホ)が座ります。
「ありがとう! じゃあここを使います!」(DHCPリクエスト&Ack)
このやり取りが、Wi-Fiにつないだ瞬間の0.何秒の間に行われています。
おかげで、私たちは「空いている番号は何番かな?」なんて悩むことなく、自動的にネットに参加できるのです。
2. ずっと借りられるわけではない(リース期間)
DHCPの大事なルールに「リース期間(有効期限)」があります。
IPアドレスは「あげた」のではなく、「貸しているだけ」なのです。
もし一度貸したIPアドレスをそのままにしておくと、その客(スマホ)が店を出て行った後も、「192.168.1.5」はずっと貸出中のままになってしまいます。
これでは、新しい客が来たときに席が足りなくなりますよね。
だからDHCPサーバーは、「24時間経ったら返却してくださいね(または更新してね)」というルールを設けています。
これにより、いなくなった人のIPアドレスを回収して、次の人に貸し出すことができるのです。
3. 固定IPアドレスが必要な場合
逆に、DHCPを使わず、手動でIPアドレスを設定することもあります。
これを「固定IPアドレス」と呼びます。
カフェの「社長専用席」
例えば、店の中にある「プリンタ」や「共有サーバー」のIPアドレスが、毎日コロコロ変わったらどうなるでしょうか?
「あれ? 今日はプリンタ何番だっけ?」と、みんなが困ってしまいます。
だから、こういう重要な機器には、DHCP任せにせず、「あなたは一生 192.168.1.200 を使いなさい」と手動で固定設定をするのです。
4. デフォルトゲートウェイも教えてくれる
DHCPサーバー(店員さん)は、IPアドレス(席)だけでなく、他の重要な情報も一緒に教えてくれます。
- サブネットマスク:「この店の広さはこれくらいですよ」
- デフォルトゲートウェイ:「トイレや出口(インターネットへの道)はあっちですよ」
- DNSサーバー:「電話帳はこれを使ってくださいね」
これら全てをセットで教えてくれるからこそ、私たちは「接続」ボタン1つで何も考えずにネットができるのです。
まとめ
- DHCPは、IPアドレスなどの設定を全自動でやってくれる「案内係」。
- 動的IP:DHCPで割り当てられた、コロコロ変わるアドレス(スマホやPC向け)。
- 固定IP:手動で設定した、変わらないアドレス(プリンタやサーバー向け)。
もしカフェや自宅で「ネットにつながらない!」というトラブルが起きたら、スマホのWi-Fi設定を一度OFFにして、もう一度ONにしてみてください。
そうすると、店員さん(DHCP)との会話が最初からやり直されて、「あ、新しい席(IP)どうぞ!」とうまく繋がることがよくありますよ。