今回は、緑黄色社会さんの「キャラクター」の歌詞を考察してみます。
冒頭部分
稽古 芝居のサイクル
誰かになりたくって 君はまた後悔
ダメダメの目配せ 効かないアドリブ
流れない涙
この部分では、「本当の自分を見失い、他人に合わせようとする苦しさ」を感じ取ることが出来ます。
日常がまるで舞台の「稽古」と化し、繰り返し演じ続けることにつかれている様子を示しています。
「芝居のサイクル」は、他人の期待や社会の役割に合わせて行動する日々を暗示しています。稽古や芝居は本番の準備であることから、常に何かに備えなければならない緊張感が感じられます。
自分以外の「誰か」に憧れてそれに近づこうと努力した結果、自分らしさを犠牲にした後悔が表われています。「誰かになりたい」という願望は、自分への不満や劣等感が潜んでいるとも考えられます。
自分がダメだと思い込んでいる主人公が、周囲にうまく合わせようとするものの、それが空回りしてしまう状況を表しています。「効かないアドリブ」という言葉からは、急場しのぎの対応がうまくいかず、自分に自信を持てない姿が描かれています。
涙が流せないのは、感情を表現する余裕さえないこと、あるいは感情を押し殺してきた結果だと考えられます。ここには、「泣きたいのに泣けない」もどかしさや、心の奥底で湧き上がる感情が閉じ込められている苦しさが含まれています。皮肉にも主人公は本当の自分ではない「誰か」になれてしまったのかもしれません。
サビ直前
瞬く間にも 頑なにも こぼれた弱音が
君の中に君がいること
教えてくれているんだ
それでいい
「瞬く間にも」と「頑なにも」という対照的な表現が並べられています。これは主人公が抱える葛藤や矛盾を象徴しているように見えます。
「瞬く間にも」は、弱音が自然に漏れてしまう瞬間が表現されています。感情を抑えきれず、無意識に本音が出てしまう様子です。一方で、「頑なにも」は、感情や本音を隠そうとする頑固さや防御本能も描かれています。この「弱音を吐くことへの抵抗感」が、主人公の内面での葛藤を強調しています。
「君の中に君がいること」の部分では、「君」という言葉が2回使われています。これは外側の「キャラクター」としてふるまう「君」と、内面に存在する本当の「君」とうい二重構造が描かれています。「弱音」が漏れることで、隠されていた本当の自分の存在に気づかされます。
「教えてくれているんだ」は、「弱音を吐く」という一見ネガティブにも捉えられる行動を肯定しています。また、「弱音を吐く」きっかけとなった他者の存在や、何かしらの外的な出来事も意味しているかもしれません。
「それでいい」、この短く簡潔な言葉が非常に重い意味を持っています。自分の弱音や本当の姿を「それでいい」と断言することで、自己肯定のメッセージが強く伝わります。
サビ
誰だって need you だって need you
だって need youだ
君のことがとても愛おしいんだ
いつだって need you だって need you
そこら中にありふれたキャラクター全てに
意味があるから
繰り返される「need you」(君が必要だ)が強調されており、シンプルながらも非常に力強い表現になっています。「誰だって」とされていることで、リスナーを含むすべての人が対象であることが示されています。緑黄色社会さんの「みんなに寄り添う」人柄とともに、彼らの思いが真剣であることが強調されています。
そしてここで「愛おしい」という言葉が使われており、感情がさらに具体的に描かれています。この言葉は、相手の弱さや不完全さも含めて愛しているというニュアンスがあります。この点で、「君が完璧でなくてもそのままでいい」といった無条件の愛を感じさせます。
「いつだって」という言葉で時間的な広がりを強調し、「必要である」という気持ちが一時的なものではなく、常に変わらないものだと伝えています。時間の制約がないことを示すことで、君が必要とされる存在であることが揺るぎない事実であると強調しています。
ここで一転して「キャラクター」という言葉が具体的に出てきます。このフレーズは、この曲の核心的なテーマを象徴している部分と言えます。ここでの「キャラクター」とは、社会や日常生活の中で「どこにでもいるような存在」や「個性が際立たない普通の人」を指していると考えられます。そんな一見「ありふれている」ように見えるキャラクターでも、それぞれが独自の役割や価値を持っているという肯定的なメッセージです。これは、自己価値に悩む人々に対して、「君にも意味がある」と伝える力強い言葉です。
「キャラクター」という概念を通じて、「個性があること=特別で目立つこと」だけではなく、「ありふれていても、そのままで価値がある」という新しい視点を提示しています。
このサビを通じて、曲が持つ「全ての人の存在価値を肯定する」というテーマが一層明確になります。リスナーが自分自身を見つめ直し、自分に意味があると感じさせてくれる点が非常に魅力的です。
まとめ
今回は、緑黄色社会さんの「キャラクター」の歌詞を考察してみました。私自身、緑黄色社会のファンで特にこの曲は好きなので、ぜひいろんな人に聞いていただきたいです。
「他にもこんな解釈があるんじゃないかな?」、「2番の考察も聞きたい」といった方はぜひこの記事にコメントください。
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