「デジタル放送」「デジタルカメラ」「DX(デジタルトランスフォーメーション)」…。
世の中はデジタル一色ですが、そもそも「アナログ」と何が違うのでしょうか?
「アナログは古くて、デジタルは新しい」というイメージだけで覚えていると、ITパスポート試験のAD変換(アナログ・デジタル変換)の問題でつまずきます。
この2つの違いは、「なめらかな坂道」か「カクカクした階段」かで考えると一発で理解できます。
この記事では、なぜデジタルデータはコピーしても劣化しないのか、その仕組みを解説します。
1. アナログは「なめらかな坂道」
アナログ(Analog)とは、情報を「連続した量」で表すことです。
アナログの例
- アナログ時計:針が「12時」と「12時1分」の間の、微妙な場所を指すことができる。
- 水銀の体温計:温度計の赤い線が、36.5度と36.6度の間をスーッと上がっていく。
- カセットテープ:音の波をそのまま磁気テープに記録する。
- 坂道:どこにでも立てる。
アナログの良さは「微妙なニュアンス(無限の中間)」を表現できることですが、弱点があります。
それは「ノイズに弱い(劣化する)」ことです。
例えば、カセットテープをダビング(コピー)すると、少し「サーッ」という雑音が混じりますよね。
さらにそのテープをコピーすると、雑音がどんどん増えていきます。
「微妙な値」まで正確にコピーしようとするため、ホコリやノイズまで一緒にコピーしてしまうのです。
2. デジタルは「カクカクした階段」
デジタル(Digital)とは、情報を「区切られた段階(数字)」で表すことです。
デジタルの例
- デジタル時計:「12:00」の次は「12:01」。その間はない。
- デジカメの写真:拡大すると四角い点(ドット)の集まり。
- 階段:1段目か2段目か。1.5段目には立てない。
デジタルは、どんなになめらかな風景や音楽も、無理やり「0と1」の階段状にカクカクさせて記録します。
一見すると大雑把に見えますが、これには最強のメリットがあります。
最大のメリット:コピーしても劣化しない
デジタルデータは「0」か「1」しかありません。
もし通信の途中でノイズが入って、「1」という信号が少し弱まり「0.8」くらいになってしまったとします。
アナログなら「0.8になっちゃった」と劣化しますが、デジタルは違います。
「0.8も来てるなら、これは『1』のつもりだろう! よし、1に戻そう!」
と、勝手に修正して元のきれいな「1」に戻せるのです。
これが、Webページや音楽ファイルを何億回コピーしても、画質や音質が全く劣化しない理由です。
3. 試験頻出!「AD変換」の3ステップ
ITパスポートや基本情報技術者試験では、「アナログ(声など)をデジタルデータにする手順(PCM方式)」がよく出ます。
カラオケでマイク(アナログ)に入った声を、機械でデジタル処理する流れをイメージしてください。
- 標本化(サンプリング)
横方向のカット。「1秒間に何回データを取るか」を決める。
回数が多いほどなめらかになる。CDなら1秒に44,100回(44.1kHz)。 - 量子化(りょうしか)
縦方向のカット。「音の大きさを何段階のメモリに合わせるか」を決める。
「3.4くらいの強さ」みたいな微妙な値を、四捨五入して「3」という整数にする作業。 - 符号化(ふごうか)
量子化で決まった数字(3など)を、コンピュータが分かる2進数(0011)に変換する。
語呂合わせは特にありませんが、「標本(ひょうほん)→ 量子(りょうし)→ 符号(ふごう)」のリズムで覚えてしまいましょう。
4. デジタル化のメリット・デメリットまとめ
最後に、ビジネス視点での比較をまとめます。
デジタルのメリット
- 劣化しない:何度コピーしても品質が変わらない。
- 加工しやすい:Photoshopで修正したり、Excelで集計したりできる。
- 圧縮できる:布団圧縮袋のように、データサイズを小さくして送れる。
- 検索できる:アナログの書類は探すのが大変だが、デジタルなら検索一発。
デジタルのデメリット
- 微妙な情報が切り捨てられる:
「階段」にする過程で、間の微妙な情報は消えてしまう(量子化誤差)。
レコード愛好家が「デジタルの音は冷たい」と言うのはこのため。
まとめ
「アナログは坂道、デジタルは階段」。
私たちの世界(声、光、時間)はすべてアナログですが、コンピュータの世界(保存、通信、加工)ではデジタルの方が圧倒的に便利です。
だから、スマホもテレビも、入り口でアナログをデジタルに変換(AD変換)して処理し、最後に出口でアナログに戻して(DA変換)人間に届けているのです。