「メールでファイルを送りたいけど、容量が大きすぎて送れない!」
そんな時、ファイルを「ZIP(ジップ)」形式に圧縮したことがあると思います。
また、デジカメの写真は「JPEG(ジェイペグ)」という形式で保存されますが、これも実は圧縮ファイルの一種です。
この2つ、同じ「小さくする技術」ですが、決定的な違いがあります。
この記事では、「可逆圧縮(かぎゃくあっしゅく)」と「非可逆圧縮(ひかぎゃくあっしゅく)」の違いを、生活用品に例えて解説します。
1. 可逆圧縮 = 「布団圧縮袋」
まずは、ZIPファイルなどに使われる「可逆圧縮」です。
読んで字のごとく、「逆が可能=元に戻せる」という意味です。
イメージ:布団圧縮袋
冬用の分厚い布団を、掃除機で空気を抜いてペチャンコにします。
これなら押し入れ(ハードディスク)にも入りますし、宅配便(メール)で送るのも楽ですよね。
重要なのは、「袋を開ければ、完全に元のふかふかの布団に戻る」という点です。
綿が減ったり、布が切れたりすることはありません。
使われる場面
Excel、Word、プログラムのコードなど、「1文字でも変わったら壊れてしまうデータ」に使われます。
Excelの数字が勝手に変わったら大問題ですよね。だから、必ず元通りになる「可逆圧縮(ZIPなど)」を使うのです。
2. 非可逆圧縮 = 「野菜のみじん切り」
次は、JPEG画像やMP3音声に使われる「非可逆圧縮」です。
こちらは「元には戻せない」圧縮方法です。
イメージ:野菜のみじん切り(または濃縮還元ジュース)
野菜をみじん切りにすれば、体積は小さくなります。
しかし、「もう元の野菜の形には戻りません」。
画像や音声データでこれを行うとき、コンピュータは大胆なことをします。
「どうせ人間には聞こえない音だからカットしよう」
「ここの色は似てるから、全部同じ色ってことにしよう」
このように、情報を間引いて(捨てて)サイズを小さくしているのです。
使われる場面
写真、動画、音楽など、「多少劣化しても人間には気づかれないデータ」に使われます。
JPEG画像は、実は元の写真より少し汚くなっているのですが、人間の目では気づかないレベルに調整されているのです。
3. JPEGとPNG、どっちを使うべき?
ブログや資料作成で、画像の保存形式に迷ったことはありませんか?
これも圧縮の仕組みを知っていれば正しく選べます。
| 形式 | 圧縮タイプ | 得意な画像 |
|---|---|---|
| JPEG (.jpg) |
非可逆 (捨てちゃう) |
写真、グラデーション 色数が多くてもファイルサイズが小さくなる。 |
| PNG (.png) |
可逆 (元に戻せる) |
ロゴ、イラスト、スクショ 色がくっきりしてきれい。背景を透明にできる。 |
「スマホで撮った写真」はJPEG、「Excelの表をスクショしたもの」はPNGがおすすめです。
スクショをJPEGで保存すると、文字の周りがモヤモヤっと汚くなる(ノイズが入る)のは、非可逆圧縮でデータが捨てられた跡なのです。
4. 試験に出る!「ランレングス法」
ITパスポート試験では、圧縮の仕組みを問う計算問題が出ることがあります。
一番簡単な「ランレングス法」だけ覚えておきましょう。
データの中に、同じ文字が連続していたら「文字+個数」に置き換える方法です。
例題:以下のデータを圧縮せよ
元のデータ:AAAAABBBBBCCCC (14文字)
圧縮後:A5B5C4 (6文字)
「Aが5個、Bが5個、Cが4個」と記録することで、データ量が半分以下になりました!
これがFAX(ファックス)などで使われている圧縮の基本原理です。
真っ白な紙を送るとき、「白白白…」と送るより「白が1000個」と送ったほうが速いですよね。
5. 豆知識:アーカイブと圧縮の違い
最後に、よく混同される「アーカイブ」についても触れておきます。
Linuxなどを触ると「tar(ター)」という形式を見かけますが、これは厳密には圧縮ではありません。
- アーカイブ(書庫化):
バラバラのファイルを1つにまとめるだけ(サイズは小さくならない)。 - 圧縮:
データの中身を整理して、サイズを小さくする。
Windowsの「ZIP」は、実は「アーカイブ(まとめる)」と「圧縮(小さくする)」を同時にやってくれている便利な形式なのです。
まとめ
- 可逆圧縮(ZIP, PNG):布団圧縮袋。元通りに戻せる。書類向き。
- 非可逆圧縮(JPEG, MP3):みじん切り。元に戻せない。写真・音楽向き。
- ランレングス法:「AAAAA」を「A5」にする基本テクニック。
「このファイルを保存して」と言われたら、「これはみじん切りにしていいデータ(写真)かな? それとも布団圧縮じゃないとダメなデータ(Excel)かな?」と考えてみてください。
適切な保存形式が自然と選べるようになりますよ。