最近のニュースで「介護ロボット」や「自動運転車」の話題をよく見かけます。
これらが動く仕組みを知る上で、絶対に欠かせない部品が「アクチュエータ(Actuator)」です。
ITパスポート試験では、「センサー」とセットで出題されることが多い用語です。
カタカナで難しそうに見えますが、人間でいう「筋肉」のことだと分かれば、仕組みは単純です。
この記事では、アクチュエータの役割と種類、そしてIoT時代になぜ重要なのかを解説します。
1. アクチュエータ=「筋肉」
コンピュータは電気で動いています。
しかし、計算(電気信号)だけしていても、現実世界のモノを動かすことはできません。
そこで、「電気信号」を「物理的な動き(力)」に変換する装置が必要になります。
それがアクチュエータです。
人間の動作に例えると…
- ① センサー(五感)
- 「熱い!」と感じる(温度センサー)。
- ② コンピュータ(脳)
- 「手を引っ込めろ!」と命令を出す(制御装置)。
- ③ アクチュエータ(筋肉)
- 実際に腕を動かして手を引っ込める(モーターなど)。
つまり、脳(コンピュータ)からの命令を受けて、実際に手足を動かしてくれる「筋肉」の役割を果たす機械の総称です。
2. 身近にあるアクチュエータの種類
「アクチュエータ」という特定の商品があるわけではありません。
動きを作る部品はすべてアクチュエータと呼ばれます。
① モーター(回転する筋肉)
最も代表的なアクチュエータです。
電気を流すとグルグル回ります。
- 扇風機:羽を回す。
- 電気自動車(EV):タイヤを回す。
- ドローン:プロペラを回す。
② ソレノイド(押したり引いたりする筋肉)
電気を流すと、鉄の棒がガチャン!と飛び出したり引っ込んだりする部品です。
直線的な動き(直動)を作ります。
- 自動ドアの鍵:ガチャンと鍵をかける。
- 電車の改札機:切符を入れると扉が開閉する。
③ 油圧・空気圧シリンダ(力持ちの筋肉)
空気や油の圧力を使って、重いものを持ち上げます。
電気で直接動くわけではありませんが、電気でバルブを制御するので、システム全体としてはアクチュエータの一種とみなされます。
- ショベルカーのアーム:土を掘る。
- 工場のロボットアーム:車の部品を持ち上げる。
3. IoT(モノのインターネット)での重要性
今、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」が普及していますが、ここでもアクチュエータは主役です。
これまでのインターネットは、画面の中で完結する「情報のやり取り」でした。
しかしIoTは、「ネットの命令で、現実世界を動かす」ことができます。
スマートホームの例
あなたがスマホ(ネット)で「鍵を開けて」とタップします。
すると、家の玄関にあるスマートロック(アクチュエータ)が作動して、物理的に鍵を回します。
「情報を現実の動きに変える」という最終工程を担っているのがアクチュエータなのです。
4. 試験に出る!「制御」の3ステップ
ITパスポートや基本情報技術者試験では、ロボットやシステムの仕組みとして以下の3ステップがよく問われます。
- 入力(Input):
センサーで情報を集める。
(例:自動運転車がカメラで歩行者を見つける) - 処理・制御(Control):
コンピュータがどうすべきか判断する。
(例:ブレーキを踏むべきだと計算する) - 出力(Output):
アクチュエータが実行する。
(例:ブレーキ装置を動かして車を止める)
試験問題で「制御対象に作用して、目的の状態にする装置はどれか?」と聞かれたら、迷わず「アクチュエータ」を選んでください。
5. 未来のアクチュエータ「人工筋肉」
最近の研究では、モーターのような機械部品ではなく、本当の生物の筋肉に近い「ソフトアクチュエータ(人工筋肉)」も開発されています。
電気を流すと収縮する特殊な繊維やゴムを使うことで、介護ロボットなどが人間を優しく抱き上げることができるようになります。
「硬い機械」から「柔らかいロボット」へ。アクチュエータの進化が、未来のロボットの形を変えていくのです。
まとめ
- アクチュエータは、電気を「動き」に変える装置。
- ロボットにおける「筋肉」の役割。
- 入力(センサー)→処理(PC)→出力(アクチュエータ)のサイクルを覚える。
スマホが震える(バイブレーション)のも、中に小さなモーター(アクチュエータ)が入っているからです。
私たちの生活は、無数の「見えない筋肉」によって支えられているんですね。