「IoT(モノのインターネット)」という言葉が定着しましたが、インターネットにつなぐだけでは意味がありません。
そこに「現実世界のデータ」があって初めて価値が生まれます。
そのデータを集めるのが「センサー(Sensor)」です。
人間が目や耳で世界を感じるように、コンピュータもセンサーを使って世界を認識します。
この記事では、多種多様なセンサーを「人間の五感」に例えて整理します。
スマホに入っている「ジャイロセンサー」などの役割も、これで完璧に分かります。
1. センサーは「機械の五感」
コンピュータ(CPU)は、計算は速いですが、外の世界を見ることはできません。
そこで、センサーが代わりに感じ取って、電気信号(0と1)に変換して伝えます。
五感との対応表
- 視覚(見る)
- イメージセンサー(カメラ)、光センサー
- 聴覚(聞く)
- マイク(音響センサー)
- 触覚(触れる・感じる)
- 温度センサー、圧力センサー、タッチパネル
- 平衡感覚(バランス)
- 加速度センサー、ジャイロセンサー
嗅覚(匂いセンサー)や味覚(味センサー)も開発されていますが、まだ一般的ではありません。
基本的には「目・耳・肌・バランス」の4つが主流です。
2. スマホに入っているセンサーの違い
私たちが毎日使っているスマートフォンには、10個以上のセンサーが詰め込まれています。
特に分かりにくいのが「動き」を検知するセンサーの違いです。
① 加速度センサー(アクセロメータ)
「移動の勢い」を測るセンサーです。
スマホを振ったり(シェイク)、歩数計として歩いた振動を検知したりするのに使われます。
「どの方向にどれくらいの勢いで動いたか」が分かります。
② ジャイロセンサー(角速度センサー)
「回転・傾き」を測るセンサーです。
「コマ」が回り続ける原理(ジャイロ効果)を使っています。
- スマホを横にすると画面が回転する。
- VRゴーグルで、顔の向きに合わせて映像が動く。
- ドローンが空中で姿勢を保つ。
これらは全てジャイロセンサーのおかげです。
「移動は加速度」「回転はジャイロ」と覚えましょう。
③ GPS(全地球測位システム)
これはセンサーというより受信機ですが、「位置情報」を知るためのものです。
宇宙にある人工衛星からの電波を受け取って、「今、地球のどこにいるか」を計算します。
3. 産業界で活躍するセンサー
工場や農業などの「現場」でも、センサーは活躍しています。
ここがITパスポート試験でよく出る「IoT活用事例」のポイントです。
温度・湿度センサー
農業IoTの主役です。
ビニールハウスの温度や土の湿り気を24時間監視し、自動で窓を開けたり水をやったりします。
「農家の勘」をデータ化したものです。
照度センサー(光センサー)
周囲の明るさを検知します。
スマホの画面が、暗い部屋に行くと勝手に暗くなるのはこのセンサーのおかげです。
街灯の自動点灯にも使われています。
近接センサー・人感センサー
何かが近づいたことを検知します。
自動ドアが開いたり、トイレの蓋が勝手に開くのはこのセンサーです。
4. アナログからデジタルへ(AD変換)
ここで、以前解説した「アナログとデジタル」の知識がつながります。
自然界の情報(温度、光、音)はすべて「アナログ(なめらかな波)」です。
しかし、コンピュータは「デジタル(0と1)」しか理解できません。
そのため、センサーには必ず「A/D変換器」という翻訳機がセットになっています。
- センサー:25.4℃という「温度(アナログ)」を感じる。
- A/D変換:「25.4」という電流の強さを、「0011001…」という数字に変換する。
- CPU:「あ、今は25.4℃なんだな」と理解して処理する。
この変換スピードや精度が、センサーの性能を決める重要な要素になります。
5. センサーとプライバシー
センサーは便利ですが、見方を変えると「監視装置」にもなります。
街中のカメラ(視覚)、スマートスピーカー(聴覚)、GPS(位置情報)。
これらは私たちの行動を24時間記録し続けています。
「どんなデータを、何のために取得するのか」
エンジニアとしてセンサーを扱うときは、技術だけでなく、このプライバシーの問題にも配慮する必要があります。
まとめ
- センサーは、現実世界(アナログ)をデジタルデータに変える「入り口」。
- 加速度センサーは「勢い・移動」、ジャイロセンサーは「回転・傾き」。
- IoTの成功は、適切なセンサーを選べるかどうかにかかっている。
あなたの周りを見渡してみてください。
エアコン、冷蔵庫、車、自動改札…。
そこには必ず、小さな「目」や「耳」が埋め込まれて、あなたの生活を見守っているはずです。