コンビニのレジでは「バーコード」をピッ。
PayPayの支払いでは「QRコード」をピッ。
私たちの生活には、この2種類のシマシマ模様が溢れています。
「どっちも読み取るやつでしょ?」と思いますが、その性能には天と地ほどの差があります。
実はQRコードは、日本の「デンソーウェーブ」という会社が発明した技術です。
この記事では、世界を変えたQRコードの凄さと、バーコードとの決定的な違いを解説します。
1. バーコードは「横書きのノート」
まずは、昔からあるバーコード(一次元コード)です。
これは、情報を「横方向(水平)」だけに記録しています。
特徴:
- 情報量:非常に少ない(数字で13桁程度)。
- 仕組み:線の太さと間隔で「0〜9」を表す(モールス信号のようなもの)。
- 弱点:横幅が必要なので、場所を取る。
コンビニの商品には「JANコード(ジャンコード)」という13桁のバーコードが付いていますが、この中には「値段」や「商品名」は入っていません。
入っているのは「商品ID(背番号)」だけです。
レジのコンピュータが、「えーと、IDが490…の商品は? ああ、お茶だね。150円だね」と、データベースに問い合わせて初めて値段が分かる仕組みです。
2. QRコードは「原稿用紙(クロスワード)」
一方、QRコード(二次元コード)は、情報を「縦と横」の両方に記録します。
バーコードが「横に長い1行の文章」だとしたら、QRコードは「原稿用紙いっぱいに書かれた文章」です。
特徴:
- 情報量:桁違いに多い(数字なら約7000文字、漢字なら約1800文字)。
- 仕組み:黒と白のドット(点)の配置で情報を表す。
- メリット:小さな正方形の中に、URLやメールアドレス、長い文章まで詰め込める。
QRコードの中に「https://…」というURLそのものが書き込まれているので、データベースに問い合わせなくても、スマホだけでWebサイトを開くことができるのです。
3. QRコードのここが凄い!「汚れに強い」
QRコードが世界中で普及した最大の理由。それは「誤り訂正機能」です。
バーコードは、線が一本でも擦れて消えると読み取れません。
しかし、QRコードは全体の30%くらいが汚れたり破れたりしていても、読み取ることができます。
なぜ読めるの?
QRコードは、大事な情報を「予備として別の場所にも重複して書いている」からです。
「右上が汚れて読めない? 大丈夫、左下にも同じことが書いてあるよ」というリカバリー機能(冗長化)が備わっているのです。
この機能のおかげで、工場の油で汚れた部品や、ポスターの隅っこ、多少歪んだ画面からでも、一瞬で(Quick Response)読み取れるのです。
4. 3つの四角は何のため?
QRコードの隅っこに、四角いマーク(切り出しシンボル)が3つありますよね。
あれは「ここがQRコードですよ!向きはこうですよ!」と主張するための目印です。
あのマークがあるおかげで、カメラが360度どの方向から向いても、「あ、これは逆さまだな」「斜めだな」と判断して、正しく読み取ることができます。
これも、高速読み取りを実現するための発明です。
5. ITパスポート試験に出るコード一覧
試験対策として、代表的なコードの名前を覚えておきましょう。
- JANコード(ジャンコード)
- 日本の共通商品コード。バーコードの一種。13桁または8桁の数字。
- QRコード
- 二次元コードの代表格。大容量、漢字OK、汚れに強い。
- ISBNコード
- 「書籍」の裏に付いているコード。世界共通の本の背番号。
6. 日本企業が特許を「オープン」にした
なぜQRコードはこれほど世界中に広まったのでしょうか?
開発元のデンソーウェーブは、QRコードの特許を持っていましたが、「あえて特許権を行使しない(誰でも自由に使っていいよ)」と宣言しました。
「自分たちの利益を独占するより、世界中の標準になってもらったほうがいい」
この太っ腹な戦略(オープン戦略)があったからこそ、今私たちはPayPayやLINE交換で便利にQRコードを使えているのです。
まとめ
- バーコード:横だけ。情報はIDのみ。データベースが必要。
- QRコード:縦横。情報はURLや文章。単体で完結する。
- 誤り訂正機能:30%汚れても読める最強の機能。
次にスマホで「ピッ」とする時は、この白黒のモザイク模様の中に、日本の技術者の知恵と「世界標準にしてやるぞ」という心意気が詰まっていることを思い出してください。