ITの世界には「HTTP」「SMTP」「TCP/IP」など、アルファベットの専門用語が溢れています。
これらをまとめて「プロトコル(Protocol)」と呼びます。
直訳すると「外交儀礼」や「議定書」という意味ですが、もっと簡単に「お約束(ルール)」と考えてください。
この記事では、なぜ通信にルールが必要なのか、そしてインターネットを支える代表的なプロトコルについて解説します。
1. プロトコル=「言語のルール」
もし、あなたが「日本語」しか話せないのに、相手が「スワヒリ語」しか話せなかったら、会話は成立しませんよね。
会話をするためには、「お互いに日本語で話しましょう」という事前の取り決め(プロトコル)が必要です。
コンピュータの世界も同じ
世界中には、Windows、Mac、iPhone、Androidなど、様々な機械があります。
メーカーも仕組みも違う機械同士が通信するためには、厳格なルールが必要です。
- 「最初に『こんにちは』と言うこと」
- 「データは100個ずつ区切って送ること」
- 「受け取ったら『OK』と返事をすること」
この手順書がプロトコルです。
2. ネットの基本「TCP/IP」
インターネットで最も使われている最強のルールセットが「TCP/IP(ティーシーピー・アイピー)」です。
これは1つのルールではなく、「TCP」と「IP」という2つの親分を中心とした、ルール軍団の総称です。
[Image of TCP IP model layer diagram]
それぞれ役割が違います。郵便局に例えてみましょう。
IP(Internet Protocol)= 配送係
役割:「宛先(住所)まで荷物を届けること」
「この荷物を、住所(IPアドレス)の場所まで運んでくれ!」と指示するルールです。
ただし、IPさんは「届けること」に必死で、中身が壊れているかまでは気にしません。
TCP(Transmission Control Protocol)= 確認係
役割:「漏れなく、確実に届いたか確認すること」
「荷物が届いてないよ!もう一回送って!」「順番がバラバラだから並べ直すよ!」と、通信の品質を保証するルールです。
IPさんが運んできた荷物を、TCPさんが検品するイメージです。
3. Webを見る時のルール「HTTP」
URLの最初についている「http://」や「https://」。
これは、「今からWebページ(HyperText)を見たいので、そのためのルールで会話しますよ」という宣言です。
HTTPの会話例
- ブラウザ:「GET /index.html HTTP/1.1」(トップページをください!というHTTPの命令)
- サーバー:「200 OK」(いいよ!というHTTPの返事)
もしここで「ftp://(ファイル転送用のルール)」を使って話しかけると、Webサーバーは「言葉が通じない」となって無視します。
4. 階層構造(カプセル化)を理解しよう
プロトコルは、マトリョーシカのような「階層構造」になっています。
これを「カプセル化」と呼びます。
あなたが「手紙(データ)」を送るシーンを想像してください。
- アプリケーション層(HTTPなど)
便箋に「内容」を書く。 - トランスポート層(TCPなど)
便箋を「封筒」に入れる。「書留(確実に届ける)」のハンコを押す。 - インターネット層(IP)
封筒に「宛先(住所)」を書く。 - ネットワーク層(Ethernet)
郵便局のトラックに乗せて運ぶ。
受け取る側は、逆に外側から順番に封筒を開けて(非カプセル化)、最後に中の便箋(データ)を読みます。
この「役割分担」があるおかげで、トラックが変わっても(Wi-Fiになっても光回線になっても)、中の手紙の書き方を変える必要がないのです。
5. httpsの「s」はSecurityのS
最近は「http」ではなく「https」が当たり前になりました。
最後の「s」は「Secure(安全)」の略です。
普通のhttpは「透明な封筒」で手紙を送るようなもので、途中で誰かに盗み見られる危険がありました。
httpsは、中身を暗号化して「鍵付きのアタッシュケース」で送るルールです。
パスワードやカード番号を入力するサイトでは、必ず「https」になっているか(鍵マークがあるか)確認しましょう。
まとめ
- プロトコルは、通信するための「言語のルール」。
- TCP/IPは、インターネットの標準ルールセット。
- TCPは「確実性」、IPは「宛先への配送」を担当する。
- HTTPは、Webページを見るための「注文のルール」。
私たちが普段意識せずにネットを使えるのは、世界中のコンピュータが「TCP/IP」という共通のルールを律儀に守っているからなのです。