「クラウドサービス」という言葉は一般的になりましたが、実はその中身は大きく3つのレベルに分かれています。
SaaS(サース)、PaaS(パース)、IaaS(イアース)です。
アルファベットばかりで混乱しそうですが、これは「不動産の借り方」に例えると一発で理解できます。
「どこまで大家さん(クラウド事業者)が用意してくれるか?」の違いです。
1. オンプレミス = 「マイホーム(自社所有)」
比較のために、クラウドではない従来の方法(オンプレミス)を見てみましょう。
これは「土地を買って、自分で家を建てる」ことです。
土地の整備、建物の建築、家具の購入、電気・水道の契約…すべて自分(自社)でやります。
自由度は最高ですが、管理が大変で、初期費用が莫大にかかります。
2. IaaS(イアース) = 「土地と基礎だけ借りる」
Infrastructure as a Service(インフラとしてのサービス)
大家さんは「整地された土地」と「建物の基礎(ハードウェア)」まで用意してくれます。
その上に、「どんな家(OS)を建てるか」は借りる人の自由です。
- できること:OS(WindowsかLinuxか)から自分で選べる。
- やること:OSのアップデートや、セキュリティ対策は自分でやる必要がある。
- 代表例:Amazon EC2(AWS)、Google Compute Engine(GCE)
プロのエンジニアが「自由にサーバーを組み立てたい」ときに使います。
3. PaaS(パース) = 「家具付き物件」
Platform as a Service(プラットフォームとしてのサービス)
大家さんは「家(OS)」や「家具(データベースなどのミドルウェア)」まで用意してくれます。
借りる人は、自分の荷物(プログラムコード)を持ち込むだけで、すぐに生活(開発)を始められます。
- できること:面倒なOSの設定などを気にせず、アプリ開発に集中できる。
- やること:アプリの中身を作るだけ。
- 代表例:Google App Engine、Heroku、Microsoft Azure App Service
アプリ開発者が「サーバーの設定とか面倒だから、コード書くことだけに集中したい!」ときに使います。
4. SaaS(サース) = 「ホテル」
Software as a Service(ソフトウェアとしてのサービス)
大家さん(ホテル側)が、部屋の掃除から食事の用意まで全部やってくれます。
私たちは「宿泊者(ユーザー)」として、用意されたサービスを利用するだけです。
- できること:アカウントを作ればすぐに使える。
- やること:特になし。ソフトの改造などはできない(部屋の壁紙を変えたりはできない)。
- 代表例:Gmail、Dropbox、Slack、Zoom、Salesforce
一般の人が「クラウド」と言ってイメージするのは、だいたいこのSaaSです。
5. 比較まとめ:ピラミッド構造
ITパスポート試験では、この3つの違いがよく出ます。
「責任範囲(どこまで自分でやるか)」で覚えましょう。
| 分類 | 読み方 | 例え | 自分でやる範囲 |
|---|---|---|---|
| SaaS | サース | ホテル | 利用のみ (一番楽) |
| PaaS | パース | 家具付き物件 | アプリ開発 |
| IaaS | イアース | 土地・基礎 | OS管理+アプリ (一番自由) |
まとめ
- SaaS:完成品を使うだけ(Gmailなど)。
- PaaS:開発環境を借りる(プログラマー向け)。
- IaaS:インフラを借りる(インフラエンジニア向け)。
「クラウドって便利そうだけど、何を選べばいいの?」と思ったら、「ホテルに泊まりたいのか(SaaS)」、「家をカスタマイズしたいのか(IaaS)」を考えてみてください。
目的によって選ぶサービスは全く異なります。